話題のサラダ

きっと誰かの役に立つことを書きます。たまに雑記も。

【体験記】治験を受けることになりました

 タイトルにもありますが、今回私はとある病気の治験を受けることになりました。ほとんどの病気の治療は薬物療法が一般的ですが、その際に使用されるお薬がどのようなプロセスを経て使用できるようになるか知ってますか?想像は難しくないと思いますが、相当大変らしいです。実際に安定して使えるようになるまでは平気で何年もかかる上に、開発費も目玉が飛び出るくらいかかっています。
 今回私が治験を受けるにあたって説明を受けたものを私なりに噛み砕いてまとめて書いてみますね。資料ももらってはいますが、自分のための備忘録でもあります(笑)あとは簡単に体験記を。


 

薬ができるまで

薬の候補を選ぶ(基礎研究)

 まずは対象の病気のメカニズムを研究し、目的とする作用をもった成分を「薬の候補」として選びます。「薬の候補」は化学合成物質だけでなく自然の中で発見されたものもその候補の中に入ります。

動物で試す(非臨床研究)

 上に書いた「薬の候補」の性質や安全性をまずは動物で試します。ネズミで研究されるというのはよく耳にすると思いますが、ウサギや犬もこの対象になるそうです。

人で試す(臨床治験)

第I相臨床試験

 健康な方に対してごく少量から少しずつ治験薬の投与量を増やしていき、安全性を調べます(抗がん剤の場合は患者さんに投与する場合もあるらしいです)治験薬がどのくらい体内に吸収され、どのくらいの時間でどのように体外に排出されるかも調べます。

第II相臨床試験

 該当する病気を抱えた少数の患者さんに使用して効果と安全性を調べます。適量はどのくらいか、どのような効き方をして、どのような副作用が出現するのかを調べます。

第III相臨床試験

 該当する病気を抱えた多くの患者に内服してもらい、「薬の候補」の効果と安全性を確認するために一定の割合でプラセボ(偽薬)を混入させ、どちらかわからないようにして比較します。(私の場合、プラセボかどうかは医師もわからないとのことでした)

承認審査

審査

 「薬の候補」の性質、非臨床研究、臨床試験の結果、適切な使い方などををまとめて厚生労働省に提出して専門家が審査するらしいです。

「薬の候補」から「薬」に

 有効性や安全性が確認されて晴れて承認されて販売されるようになります。ちなみに非臨床試験から承認・発売までに9年から17年程度必要と言われています。
 治験としてはここまでですが、販売されて多くの人に処方されてからもその実績を基にして得られたデータは製薬会社にフィードバックされ、今後に活かされるのだとか。

治験の実際

治験を受けることになった経緯

 私は完治はほとんどないと言われている基礎疾患を持っているのですが、もし完治を見込めるような薬の治験があれば試してみたいなーなんて考えながら治験ボランティアに登録していました。
www.jcvn.jp
 で、今回はその基礎疾患とは別ですが、特定の症状を持った人の治験を募集しているとのメールが届き、自分にも当てはまっていたためすぐ応募した次第です。応募すれば誰でも受けられるわけでなく、定員がある上に身体の状況などの条件を満たしているかでも判断されます。

担当者から連絡が来る

 現在の状態についてのアンケートに答えると、治験担当者から電話が来ます。あらためて現在の身体の状況について詳細に聞かれたり、今回の治験がどのようなものかを口頭で説明してくれます。
 治験を受けることに同意したら今度は治験を受ける病院の担当者からも連絡が来て、受診の日程調整をしました。受診予定日の数日前に治験担当者からまた電話が来て治験を受ける最終確認をされます。あとは当日の流れを説明していただきました。

治験当日

 初めて受診する病院で診察券も持っていないので、受付から担当者が常に側にいてくれました。もはや私は受付の人と会話すらせず、担当者があらゆる手続きを全て代行しくれたのでとてもスムーズにことが進みました。

今回の治験について資料を用いて説明

 診察室に通され、担当者から電話で受けた説明を資料を用いながら更に詳細に説明されました。私は看護師で一定の知識があるので理解に苦しむことはなかったですが、みんながみんな医療関係者ではないので頻回に理解度を確認していただけるのは助かりますね。
 ちなみに今回私が受けるのは 第III相臨床試験で、治験の最終段階です。全国で数百人から千人程度が対象とのことで、その中でも同じ病院で10人ほど同じ治験を受けるのだそう。
 ひととおり説明を受けたら同意書に記名していよいよ診察へ。

担当医の診察

 入室し担当医が開口一番に「わざわざ来てくれてありがとう。なんでも聞いてね。」と、看護師歴5年以上の私がこれまでに関わってきた医師の中で一番優しい雰囲気で言ってくれました(笑)
 再度該当する症状についての問診を受け、私の症状が治験に該当するかを判断してくれます。表現が難しい部分に関してはわかりやすい例えを用いて説明してくれました。普通に自分の看護師としての仕事の時に使えそうだなあなんて思ったり。あとはその日以降に行われる検査をどんな目的で実施するのか詳しく説明してもらい、検査に。
 個人的にすごくありがたかったのが、この治験が終了後そのまま主治医としてその疾患を治療するのはどうかと提案していただけました。私が住んでいる県の中では上から数えたほうが早いくらいの大きさと先進性を誇る病院ですので、ありがたくその後もお世話になることになりました。大きい病院に掛かるのってどこか少し不安感、感じませんか?私だけ?(笑)

検査

 先生に言われた通り諸々の検査を受けます。これには治験の担当者が常に同行してくれるのですが、最初の担当者と違っていかにもお局感のあるベテランぽい歩くの早い女性。大きい病院でかつ方向音痴の私からすると、同行してくれるのは助かるのですが尿検査の時も外で待たれているのでなんだか少しの羞恥心を感じました(笑)まあこればかりは仕方ない。

初日は終わり

 検査が諸々終わったら普段受診するのと同様に窓口で支払いを行ってその日は終了。あと2回ほど通院する必要があるのですが、ひとまず次回は今回の検査をもとに治験を受けるのに該当するかどうかの最終チェックと、該当すればお薬をいただけることに。
 3回目はお薬を内服してその後の検査をするみたいです。薬効があるのかどうかとか、副作用があるかどうかとか。実際に通院するのは合計3回なので、そこまで手間がかからないのはありがたい。

お金がもらえる

 私は実際に治験を受けることが決まってから知ったのですが、ボランティアと言いながらも「負担軽減費」という名目でお金がもらえます。一回通院するごとに数千円みたいな。一応医療費は支払う必要があるので、数千円からかかった医療費を引いた分が手元に残ります。

まとめ

 治験の流れと実際をざーっくり書いてみました。あくまで私の体験記ですので、治験の内容や段階によって違いはあるとは思います。自分が受けた治験で完成した薬が今後世に出回った時、「あーこの薬の実験台になったんだわ。自分」なんて厨二病みたいなことを言う日を心待ちにしています(失笑)